病院での看護業務について、認知症患者への対応は非常に大きな問題となっています。((認知症に関する詳細はこちら))
認知症患者は、自分の病状はおろか、病院にいることすらわかっていないというケースが少なくありません。周りの制止を無視して帰宅しようと徘徊し、転倒事故を起こす危険があります。また、認知症は幻覚や幻聴などの症状を引き起こすため、患者が恐怖に駆られて攻撃的な言動を取る可能性も否定できません。患者自身の安全のため、常に複数人が対処しなければいけませんが、多くの病院は人手不足なので、認知症患者につきっきりではいられないのが現状です。複数の認知症患者を一つの病室にまとめるなどの工夫が実施されていますが、多忙な看護業務の緩和には至っていません。
認知症患者の看護における問題点は、世間の認識不足も挙げられます。認知症患者は、力いっぱい抵抗することがあるので、打撲や骨折などの怪我を負うおそれがあります。眠剤を服用させたり、一時的に拘束するなどの対処法がありますが、患者に対する虐待と見なされるのが問題です。その一方で、認知症患者を放置すると異常行動が過激化し、重大な事故を引き起こす可能性があります。
認知症の症状は人それぞれなので、すべての患者に適した万能的な対処法は存在しません。患者ごとに最適な方法で対処しなければならないので、ただでさえ忙しい看護業務がさらに多忙化する問題があります。人手不足を解消する目的で、退職した看護師を再雇用するなどの方法が実施されていますが、根本的な解決には程遠いのが実状となっています。